救急車受入お断りについて・・・少し愚痴や医師側・患者様側の問題等勝手に考察

本日の投稿はご覧になられる方のお立場によっては様々なご意見があられる内容となっております。あくまで【一個人の一意見】という目でご覧いただけますと幸いです。不快な想いをされるかもという方はご覧にならないでください。

昨日 用事で現職ツカザキ病院の最寄り消防署であります網干署にいってきました。

そこでお偉方様より少し耳の痛い情報を頂きました。

曰く、『先生、先日救急隊がある病院に小児の腹部打撲の患者様を交渉させて戴いたのですが、外科の先生からは小児外科があるところにと言われてしまいました。』とのことでした。消防の方がおっしゃりたかったのはこれに対する不満ではなくて、『外科という分野の守備範囲が病院によってまちまちなのはどうして?病院によっては緊急胃カメラ等してくれる外科もあれば腕の切り傷を整形外科と言って断る外科もあるけど・・・』とのことでしたが、個人的には【お断りがあること】自体を残念に思いました。

この問題、おそらく日本中で似たり寄ったりな状況にあると思います。

この背景を考察してみたいと思います。

まず皆様☟をご覧ください。

医療事件判決紹介コーナ
表示できません|河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS
福島県立大野病院産科医逮捕事件 - Wikipedia

ご覧になられて、また偏見をなくすためにも不明点はご自身で調べられた上で『訴訟当然、賠償金を払うべき。』と思われる方はここから先は読み進まないでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①外科医の目線から(と言いますか、各科専門医の立場を考察)

日本の外科医の大半は癌手術をメインとした外科医です。普段より外傷、ましてや小児など診ていません。お腹や胸以外の手足、ましてや顔などほぼ縫わない外科医も多いと思います。病院が地域救急医療を支える方針である場合、そのような外科医に限らず他の専門分野に特化した科の先生も当直をしなければ夜間・休日を回すことはできません。ましてや日本に計3000人程度しかいない救急専門医を救急対応医療機関全てに配置することなど不可能です。そんなことをしてしまうと今度は高度救命を担う救命救急センターが危機的な状況になります。

また、医師の本分として受入れても処置困難と判断して他院にお願いした場合、患者様やご家族様によっては『あそこ、受け入れてくれたはええものの、なんもしてくれへんかった。結局○○病院さん行ったわ。お金だけ獲られた。』等の心無いお言葉を戴くことがあります。患者様が不幸な結果に陥る最悪の場合、前述の通り訴訟になりかねません。

これって、例えが間違っているかもしれませんが、餓死するくらい空腹の時に近くの定食屋さんがご飯を作ってくれて、結果『あの定食屋不味かった。もっと離れたところにはフランス料理屋があったのに。結局そこ行って食べなおしたわ。』と言っているように聞こえるのは私だけの気のせいでしょうか。

だったら、初めから自分の専門分野と思われる患者様以外はお断りした方が安全かつ嫌な目に合いにくい・・・などと考えるのでしょうか??一人ひとりに聞いたわけではありませんが、こんなところなのかななど愚考します。

②患者様・ご家族様の立場から

先述の3事例に関しても、患者様・ご家族様のお気持ちになって考えますと、いたたまれない想いであると深く共感します。この怒りや哀しさをどこにぶつければ良いのか!となることでしょう。私がその立場でもそうなると思います。しかし、本稿をご覧になられている大半の方々はご理解戴けると信じておりますが、これら全て、誰が悪いわけでもないのです。

外傷を受け入れた脳神経外科医は『30分・1時間もかけて搬送されるのは忍びない。』と想って受け入れられたでしょうし、脳神経外科医が心臓の超音波検査やましてや心タンポナーデに対して心嚢穿刺が出来るでしょうか?では初めから受け入れなかったら、他病院も同じように拒否したらどのようになるでしょう・・・答えは現状の救急事情が物語っているのではないでしょうか?

東日本大震災の最中に、絶対的医療資源不足状況で多数傷病者や避難者が押し寄せる中で懸命に【最大多数の最大幸福】を目的として重症患者様を優先に奮闘している中で緑トリアージの患者様(歩行が出来る方は全て緑トリアージとなりますので、緑は患者様ですらないこともあります。)の処置が遅れたことを誰が責められるのでしょうか?

大野病院事件では医師サイドにも専門医として何らかの問題があった可能性を指摘する声もあるかとは思いますが、地方の一人常勤産婦人科の先生がその地域での産婦人科医療のために連日懸命にお産をされている中本件でも懸命な処置をされたことは想像に難くありません。

これらが訴訟という不幸な形になることで、それを見ている医師、特に専門科医師達は【君子危うきに近寄らず】となるのではないかと勝手に想像しています。

改めて申し上げますが、患者様やご家族様のお気持ちや悔しさ哀しさに理解を示さないわけではありません。むしろ、日々患者様がお亡くなりになるのを見ている身としては哀惜の念に堪えません。ただ、このような背景が現状に影響を及ぼしている可能性はあるかもねということを想ったのみです。

③救急医の立場として

しかし、現在全国的に救急車たらい回しが問題になっていることは事実です。兵庫県でも長年播州地域のたらい回し事情が問題になっています。

皆様の中には『初めから救命救急センターが全部受け入れれば良いじゃないか。』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは医療者数・ベッド数の問題から少なくとも現在の播州地域では不可能です。また、無理にでもそうしてしまうと、マンパワー不足から本当の重症患者様への処置が遅れてしまうことになりかねません。

人口当たりの医師数が少ない播州地域において、夜間休日を守って下さる諸先生方には自分が断れば、それを他院が同じようにすればその患者様がどうなるのか、自分の家族でもお断りするのかなどを判断材料に『取り合えず受けて診てみようか。それで問題があったり手に負えなさそうなら高次病院か専門病院に送ろう。』と思っていただける勇気が、またそれを支えられるような社会背景が必要なのかもしれません。

個人的に出来ることは、これら諸先生方のお役にたてるように救急車を受け入れて鑑別診断・安定化を行い、諸先生方の専門分野に合わせてご紹介させて戴くなどでしょうか・・・これからも何か良い方法を考えていきたいものです。

本日は徒然なるままに書き散らしました。

ご気分を害された方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんが寛大なるお心で本稿は見なかったことにしていただけますと幸甚です。